棡原(ゆずりはら)が「日本一の長寿村」と呼ばれた理由は食生活と地形にあります。雑穀や菜食中心の食事と、自給自足の生活に理由がありました。当時は診療所らしきものはなかったにも関わらず、癌、認知症、生活習慣病などに罹る人は殆どおらず、元気に長生きしていたのです。その秘密は何だったのでしょうか。以下、「長寿の里・棡原…自然が育んだ健康の原点」より引用させていただきます。

長寿の里・棡原…自然が育んだ健康の原点

ここ棡原は、半世紀ほど前、「日本一の長寿村」として全国にその名を知られました。(甲府市の古守病院の古守博士と東北大の近藤名誉教授が研究し紹介したレポートが、日本医師会の最高優功賞の栄誉に輝いた。) 青々とした空、さらさらと流れる渓水、緑豊かな森林、手つかずの大らかな自然に恵まれ、山川を眺めながら畑仕事、自然豊かなバランスのとれた生活環境が整っています。 「耕して山頂に至る」の例えがあるとおり、起伏の激しい斜面に広がる集落に住み、山道を荷物を背負って歩き、段々畑での野良仕事、庭の草取り、薪割り、枯れ枝や杉葉拾い、家事の手伝い、子守、お寺参りをする生活をして、だから足腰の筋肉が鍛えられました。 また、その地形から水の確保が難しく稲作ができないため、麦を中心にキビやアワなどの雑穀、イモ類(主にジャガイモ、里芋)、大豆などの豆類、野菜など食物繊維の多い農産物や、茸、筍、山菜、こんにゃく、味噌、うどん、そば、酒まんじゅう、卵、鶏肉、山鳥や獣の肉、牛・山羊の乳、イナゴ、蜂の子、鶴川でとれた川魚などを食べて生活する独特の伝統郷土食が生まれました。この郷土食は一見粗食ですが、人体に必須のミネラルがしっかりと含まれており、とてもバランスが取れた食事だったのです。 斜面に踏ん張って暮らさざるを得なかった厳しい環境が複合的に重なり、心臓はじめ内臓機能が強化され、脳細胞も衰えず、「健康・長寿」が育まれてきました。村には病院・診療所らしいものもなく、体調が悪い時でも蓬、ドクダミ、ゲンノショウコ、センブリ、イタドリ、オオバコ、草の根、木の皮等を煎じたり、貼ったりして癒していました。村民はそれでも癌、認知症他生活習慣病などに罹る人は殆どいなかったし、元気に長生きしていました。 近年、生活習慣病の増加に伴い、健康志向の流れを受け、再び棡原の自然や郷土食が注目されています。

昔ながらの日本人の山間部での雑穀や菜食中心の自給自足の生活そのものが長寿の秘訣だったという訳ですね。